廃プラスチックに新しい命を吹き込む 秋田エコプラッシュ

人間が生きていく上で決してなくなることのない廃棄物、能代市扇田の工業団地にある秋田エコプラッシュは、そのリサイクルを手掛ける会社です。

敷地に入ると巨大な袋が整然と並んでいました。これが東北各地から運び込まれた容器包装プラスチック(容リ材)、家庭から排出された廃プラスチックです。秋田エコプラッシュは、この容リ材や工場から出た資源プラスチックから再利用可能な素材を抽出し、ペレットを生産しています。さらにそのペレットを成形して地盤改良に使われる製品や線路わきで電線を保護するトラフと呼ばれる四角い管のような製品を作っています。

秋田エコプラッシュの敷地には原料となるプラスチックと製品が整然と並んでいました

社名のエコプラッシュの「プラッシュ」というのは、プラスチックと石炭灰を意味するフライアッシュから作った造語。当初、フライアッシュの再利用を考えていたことからこう名付けられましたが、現在は扱っていないそうです。

環境にやさしい産業

松井隆伸社長

松井隆伸社長は同社の魅力として、廃棄物の再利用という地球環境に欠かせない産業であることと、縁の下の力持ち的な見えないところで環境改善に欠かせない製品を製造していることを挙げました。

主な製品は、「ウスイチョリューソー」。何度聞いても、漢字が思い浮かばず、聞き返したら「雨水貯留槽」でした。それで、大きな水槽を想像していたら、まったく違うものでした。

雨水貯留槽はこんな形。地下に埋め込んで雨水の吸収を調整するのです

この雨水貯留槽は、校庭や歩道、駐車場の地下などに使われ、関東圏では一定以上の規模の開発では必ず敷設が必要なものなのだそうです。これを手掛ける同業者は十数社ありますが、秋田エコプラッシュは、材料が容リ材なので価格優位性があり、強度の高い製品を作れるそうです。また、これを家屋の基礎に敷設すると耐震性が増し、液状化にも強くなるそうです。 

「トラフ」という線路わきを走る電線を保護する製品も作っています。これは大手企業のOEM(相手先ブランド製造)で、特殊な原料が使用されています。JRの線路脇のケーブルが燃えた事故の後に開発されたそうです。以前はコンクリートだったものを再生プラスチックにすることにより軽くなり敷設工事も非常に楽に速くなるのだそうです。

どんな作業をしているかが気になる人はこちらの動画をご覧下さい。

同社と同様の技術でプラスチックのペレットを作っている会社は全国に三十数社。そのうち2割程度がそのペレットを使って製品を作っているそうです。

業績が伸び、人員も拡大基調 

山谷文子常務取締役

山谷文子常務取締役によると、秋田エコプラッシュの社員は現在、全体で57人。そのうち事務系が7人。廃プラスチックなどの選別作業は、パートタイマーにお任せしています。勤務時間をかなり自由に調整できるようにし、親の介護や子育てなどで時間に制約のある人でも働けるようにしています。

事務系の社員は10人

現在、増員しようとしているのは機械のオペレーター。さまざまな機械がありますが、入社時には特に資格は不要だそうです。 

Uターンしてきた人も多いそうです。最近、ウェブで求人をするようになり、関東圏からの応募が増えているとのこと。奥さんが秋田の人で地元に戻ることになったので一緒にIターンしてきた人もいるそうです。 

ここでちょっと耳よりなニュース!松井社長は、2年前から親会社である東京の日本パレットレンタルから出向されているのですが、東京と比べて秋田の給与水準が低いことが気になり、これじゃ大変だろうと就任翌年となる2017年4月に全社的に給与を底上げしたそうです。 

ここしばらくは右肩上がりが続くと思っているので、余裕ができたら待遇を改善していきたいと思っています。労働意欲にもプラスになるし、なにより社会貢献している企業で働いているという誇りを持ってもらいたい(松井社長)
 

実は昇給する前の年度の業績はあまり良くありませんでした、社員からは「大丈夫ですか」と心配する声もあったそうです。でも翌年度に良くなる見通しがあったので思い切って昇給を決めたとか。給料が上がるより会社を心配してくれる社員が多いことに「グッっと来た」そうです。

若手の代表として、レスリング選手としてインカレで3位など素晴らしい成績を収めた齊藤信之介さんにお話を伺いました。 

齊藤信之介さん

齊藤さんは、進学のため上京し、就職で東京に残ることも考えたものの結局秋田に就職することに決めました。大学時代も地元に戻ると幼なじみの友達と集まるのが常でしたし、「こっちのほうが楽しんじゃない?」といわれ、「そうだな」と思ったそうです。 

休みには潟上市の小中学校でレスリングの指導をしたり、出身のノースアジア大学明桜高校のコーチもしているそうです。休みには車でいろんなところに出かけたり友達に会ったりして充実した生活を楽しんでいるようでした。 

齊藤さんは、三交代勤務の製造部で働いています。日勤が5日間続くと1日休みで夜勤が5日間。その後は2日の休みを挟んで5日間の夕方勤務、そして2日休んで日勤というサイクルだそうです。土日が休みになるのは4カ月に1回ぐらいだそうです。 

最初は覚えることがたくさんありましたが、それも楽しかったそう。フォークリフトの資格も取りました。 

取材を終えて:

給与水準の引き上げに踏み切れない会社が多い中、松井社長の言葉がとても響きました。東京の会社が秋田に工場を作るのは賃金が安いからという理由が大きいので、働く側も賃上げを諦めているところがあります。しかし競争力のある製品を持っていれば給与も上げられることを秋田エコプラッシュは示しているのかなと思いました。

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