Aターンフェア、行ってみました!

秋田県外で働く人や学生さんに県内企業を紹介する求人イベント「Aターンフェア」が2月10日に東京都内で開催されました。秋田に帰りたいけど就職がみつからないという話を最近よく聞くので、ちょっと遅くなってしまいましたが、レポートします!

秋田県移住・定住促進課の羽澤貴子さんによると、こうしたイベントは毎年、東京で2回と、秋田で2回(帰省する人の多いお盆と年末)行っているそうです。参加者は133人。そのうち学生さんが26人。20歳~30歳代の人が多く、小さな子供連れの若い家族も何組かいました。

羽澤さんと久米寿課長

参加企業は54社前後。それ以外にも社会福祉協議会や商工会連合会、自治体や後継者のいない企業のために後継者探しをする事業引継ぎ支援センターなどがブースを出していました。そうそう秋田県警も来ていました!来場者は130人余り。そのうち学生が26人。面接数は220余りだったそうです。

ちょっと企業に話を聞いてみたいと思い、まったくの独断と偏見(行き当たりばったりとも言う)で、たまたま求職者との面談をしていなかった企業のブースにうかがってみました。

まずは、秋田のウェブ情報を検索しているとよく遭遇するウェブ・映像制作会社「トラパンツ」。社名がいいですよね。前から気になっていたのでブースに行って社名の由来を聞いてしまいました。しかし、「ふかーい意味があるんでウェブサイトで読んでみてください」といわれ、後で読んでみたら代表取締役の長谷川さんの熱い思いのこもった社名であることが分かりました。フェア当日のPRシートを拝見したところ、募集職種は多いです。「映像制作スタッフ、3DCGデザイナー、プログラマー、ネットワークエンジニア、制作事務、一般事務、スクール運営」。そういえば同社は最近、運転代行をスマホで頼めるサービスを開始。その実証実験のために運転代行の会社も持っています。

トヨタ自動車系の自動車部品・工作機械大手のジェイテクトは、昨年11月に秋田市に100%出資子会社として「ジェイテクトIT開発センター秋田」を設立したばかり。秋田にIT企業や自動車産業を育てたい佐竹敬久知事も大きな期待を寄せています。 同社は自動車及び自動車部品を制御するソフトウエア(組込み・制御)開発を担うエンジニアなどの人材を求めており、特に東京など県外からのAターン者の採用に力を入れています。名古屋本社の人事部の水畑恭平さんによると、「車載ソフトウェアに限らず、電機やインフラ、業務系システム開発経験のある方のジョブ・チェンジも歓迎しています」とおっしゃっていました。既に採用された技術者15人、事務系1人のほとんどはAターン。同社の副社長は立地協定締結式で、「目標は50名、将来は100名」の採用を大きな目標として掲げたとのこと。ソフトウエアの開発は製造と違い物流面のハンデもなく、秋田に向いているはずです。「秋田に帰りたいが仕事がない」という声に答えて県も頑張ったなと思います。大きく育って欲しい。

木材の町、能代を本拠とする大森建設にもお話をうかがいました。土木工事や建築工事のほかにも、 総合建設業のほかにも、秋田杉の香りを使ったルームコロンや精油を製造しておられます。河田秀明営業マネージャーによると、同社は杉アロマ以外にも秋田愛に根差した事業をされているとのこと。最近では国内にこれ以上の適地はないと言われるほどの風を活かした風力発電事業、産業廃棄物(主に石炭灰等)のリサイクル製品事業など約15業種に及ぶ多角経営を展開されております。

昨年は地域を世界にPRするため、純米大吟醸「福八(ふくはち)」を売り出したそうです。福八は、世界自然遺産白神山地の湧水で育てた酒米「秋田酒こまち」を使い、県産の酒酵母、秋田杉のたるで仕込み、白神山地の雪で作った「雪室」で熟成させた日本酒。福八の名にちなんで、お米を29.8%にまで削り落としたそうです。仕込みは八峰町の山本合名に委託。
台湾やフランス、モナコへも輸出しているそうです。フランス、モナコへの輸出はフレンチの巨匠ジョエル・ロブション氏の次男のルイ・ロブション・アベ氏が手掛けているそうです。

すいません!!お酒の話が長くなりすぎました。(汗)Aターンの話に戻ります。

最近人手不足がよく話題にのぼるトラック協会にも話をうかがいました。「相談者は来ていますか?」と質問をすると、伊藤旭事務局長は、「個別にブースを出している運送会社も多いのですが、運転手という職業に関心を持っていただきたいのでこのイベントに参加しました」とにこやかに応じてくださいました。

運輸業界は平成2年の規制緩和で業者数が増え競争が激化、一方、若い人の車離れ、少子高齢化のため運転手が減っているそうです。業界を挙げて女性や高齢者の採用を増やそうとしているほか、これから免許を取る人への補助金も手厚いそうです。秋田市では免許取得費用の2分の1または上限10万円の助成、そのうえ業界からも10万円の助成があるのでうまく制度を利用すれば費用の半分程度は賄えてしまうそうです。

秋田では企業の後継者問題が深刻と聞くので、秋田商工会議所の事業引継ぎ支援センターの簗田征光さんにもお話をお聞きしました。

秋田県事業引継ぎ支援センターの簗田征光さん

以前は、後継者問題に悩んでいることが分かると、銀行から融資が受けられなくなるといった懸念から、誰にも相談できなかったのですが、最近はすっかり雰囲気が変わったそうです。マスコミにわざわざ取り上げてもらう企業もあれば、そうした企業の番組が放送されると、問い合わせが急増するそうです。引継ぎの実績は着実に増え、4年目となる今年度は20件を超える見込みです。簗田さんによると、秋田音頭にもうたわれた能代春慶塗りは後継者がいなくて途絶えてしまったそうです。支援センターは、県や市町村、商工会議所や商工会といった組織・団体とともに企業をよく知る税理士さんや公認会計士さんとの連携を進めて、企業の後継者問題の解決に向けて努力していくとのことでした。

会場にいらっしゃった求職者の方にもお話を伺いました。

リクルートスーツの若い女性、Sさん。年齢をうかがったら19歳。現在埼玉県内の大学の数学専攻の大学生。出身は湯沢市だそうです。母子家庭で一人っ子なのでお母さんのそばで就職したいという孝行娘。それに地元が好きなのだそうです。「まだやりたいことが決まっていないので、いろんな企業を回ってみて、話をしてみようと思い来ました」とおっしゃっていました。IT系を希望しているそうです。大学の就職課の人に相談したところ、東京のAターンの相談員に連絡を取ってくれ、その人からAターンイベントのことを聞いたそうです。しっかり者だ。

SさんはIT企業への就職を希望しています

30代後半の男性、Xさんは秋田市の出身。「おはよう納豆」のヤマダフーズさんと面談をされたそうです。ヤマダフーズは営業職、研究職、新商品開発、設備管理などの職種を募集していました。Xさんは「これまで医薬系や化学系の会社で派遣社員として研究や品質管理などの仕事をさせてもらってきましたのでそういう職種で探しています」と話されました。出展企業の面接スケジュール表をチェックして、条件が合う企業のお話をもっとお聞きしたいと話しておられました。

Uさんは40代前半の男性。由利本荘市の出身で、現在はITエンジニアのお仕事をされています。プログラマーとして働ける企業を探しているとのことでした。このフェアに来る前から秋田企業に絞って就職活動を進めているそうです。この日は由利本荘市に拠点を持つTDKも出展していたので面談したとのこと。 岐阜や東京で15年近く働いてきましたが、「そろそろ戻りたいな」と思ったそうです。豊かな自然や家族の元に戻りたいと思うようになったとおっしゃっていました。

インタビューに応じてくださった求職者の皆さんは秋田県出身で、家族が好き、家族が心配という親孝行な方ばかりという印象を受けました。男性の求職者の中には、東京と秋田と両方の就職を検討しつつも、できれば秋田に帰りたいと考えている方もいらっしゃいました。県内企業もこうした人材が秋田で充実した生活を始められるよう頑張ってほしいと思いました。

◎ この日の参加企業のリストを添付します。(2月10日現在です)

(2018年3月14日)

▼文:竹内カンナ

秋田市出身。WE LOVE AKITA 記者。米経済通信社で長年、日本の金融経済のニュースを幅広く担当したあと、現在は 米経済紙の日本語版の翻訳のかたわら、秋田の活性化について考え続けています。

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